2017年3月13日(月)、14日(火)、Ibasho/Ibasho Japanのメンバーらで、Ibashoのプロジェクトが進められているネパールのマタティルタ(Matatirtha)村を訪問し、村の方々とのワークショップを開催しました。
マタティルタ村では昨年からIbashoプロジェクトとして、花壇での花の栽培、農園での野菜作り、堆肥作りなどを少しずつ行っています。昨年12月にはプロジェクトの拠点となる建物を建てる敷地を決めるためのミーティング、ワークショップを開きました。また、拠点となる建物はどのような場所にすればいいかについて意見を伺いました。
3月13日(月)、14日(火)の2日間のワークショップの目的は、拠点となる建物を建てる敷地に行って、建物にどのような機能が必要かについて意見を伺うことです。
敷地は村の広場に面した場所。現在建っている2階建ての建物は、2015年の地震によって広場に面した1階部分の壁のレンガが崩れており、この建物の建て替えを計画しています。
3月13日(月)、1日目のワークショップでは村の方々に拠点となる建物に欲しいものを絵として描いてもらいました。参加したのは男性約10人、女性約20人、子ども(Shree Mahalaxmi Lower Secondary Schoolに通う子ども)10人。高齢者は2グループに、女性は1グループに、子どもは2グループに分かれてもらい、グループごとに絵を描いてもらいました。
30分ほど絵を描いてもらった後、グループごとに発表。ミーティングする場所、音楽やダンスを練習する場所、レストラン、インターネットが使える場所、図書室、クラフトを作る場所、遊び場、映画が見れる場所、オフィスなどの絵が描かれていました。
グループの発表の後、村の方々と一緒にメジャーを使って敷地の面積、建物前の広場の面積を実測。敷地の大きさを見やすくするため敷地の境界には黄色いロープを張りました。実測した結果、敷地は約14m×約11m(面積は約150m2)の長方形で、北側に向かってやや傾斜。敷地の南側に広場があり、東側に長方形の池があります。
3月14日(火)、2日目のワークショップには男性約15人、女性約30人、子ども4人が参加。1日目のワークショップであげられたもののうち、Ibashoプロジェクトの拠点に相応しいものは何かを議論しました。議論においては、以下のようないくつかのポイントをあげました。
1つ目のポイントは、新しく建設する建物だけで完結しようとせず、Ibashoプロジェクトの農園、高齢者住宅(Matatirtha Oldage Home)、女性グループ(Mahila Samuha)の建物など村の他の場所との連携を考えること。既に村の他の場所で行われているものは、新たに建設する建物には必要はないこと。
この点については、女性グループ(Mahila Samuha)の建物で音楽を練習している、高齢者住宅(Matatirtha Oldage Home)でクラフト作りをしてもいい、学校には図書室はないなどの意見が出されました。インターネットについては、村でインターネットが使える公共の場所なく、家庭でインターネットをひいている人も数人。ほとんどの人が携帯電話を使ってネットに接続している状況のようです。また、村にレストランはあるが、Ibashoの拠点となる建物では、自分たちの手作りの料理を出す、環境によいものを出す、お酒を出さない場所にしたいという意見。お酒を出さないというのは、村ではアルコール依存の問題があることに関わっています。農園で作った野菜をIbashoの建物のレストランの食材にしたり、販売したりするという意見も出されました。
2つ目のポイントは、Ibashoは高齢者が地域に参加できることを大切にしているので、女性だけ、子どもだけで使うための場所ではなく、多世代で活動できる場所にすること。
3つ目のポイントは、1つの機能に1つの部屋を割り当てるのではなく、時間をずらして利用したり、棚や動かせる家具を利用したりすることで、多用途に使うための工夫をすること。
この点については、テーブルの上に野菜を置いて売ってるなど、日本の「居場所ハウス」の写真も見せながらの説明を行いました。
これらのポイントをふまえ、Ibashoプロジェクトの拠点となる建物に必要な機能について、村の方から意見を伺っていきました。
これまでのワークショップは高齢者住宅(Matatirtha Oldage Home)で行ってきましたが、今回初めて村に出て、Ibashoプロジェクトの敷地で行いました。
建物の中では高齢者、女性、子どもたちがワークショップに参加し、それを通りがかった人が後ろから覗いたり、周りでは小さな子どもたちが遊んでいるという光景が見られましたが、これはIbashoプロジェクトが村に生み出した新たな光景だと思います。
村に出てワークショップを行ったことで、ワークショップに参加している人以外にもIbashoプロジェクトのことを知ってもらうことになりました。さらに村の広場に面したこの敷地は、村の人々が行き交う場所になっており、プロジェクトの敷地に相応しいということも感じました。